fumi
情景を燻らす散文

25-02-20
 ローストビーフの旨みよ。牛モモ肉を450g、紐で結ばずに丸ごと。適当に塩胡椒をしておく。そのかたまり肉を大きなフライパンに多めに入れたオリーブオイルで揚げながら焼いていく。六面、丁寧にじっくりと、焼き目がついていくように焼いていく。
 どなたかのインスタでたまたま見た調理法を試してみたのは、ちょうどクリスマスの夜でした。あまりイベントごとを気にしない私でありますが、今年はなんだか、ローストビーフでも作ろうかと特に理由もなかったけれどほどよく意気込んでおりました。もちろん、ローストビーフなんてこれまでに作ったこともなければ、作ろうと思ったことさえなかったので、それだけでもテンションは上がっていたのかもしれません。私にやる気をくれたインスタの方、ありがとう。その動画を取っておいたわけではないので、見様見真似ともいかず、記憶の断片を繋ぎ合わせながらつくっていきました。
 まずはお肉の調達ということで精肉店で牛モモを購入。油で全面を揚げながら焼いていくなんて発想、とても面白い。肉汁が外に出ていかないとの理由だったか、ごもっともでした。油は何油だったか、、思い出してはみたものの思い出しきれず、無難にオリーブオイルを選択。旨みを閉じ込めながら少しずつゆっくりと焼いていきました。とても大きいお肉、中まで火を通すのは難しいので、良きところで一度そのお肉を取り上げて、半分に切ってみた。中の方はまだしっかりと生だったので、今度はそのあと切った面を揚げながら焼いてみた。半分に切ったあたりからは自分のアレンジですが、うまくいったようだった。まわりはカリカリ中はジューシー。一枚ずつ切った断面は美しいグラデーションになっている。こんな簡単にかつ美しく仕上がるのかとワクワクした。そこへ、砂糖を一切使用せずにぶどうだけを熟成させてつくられたバルサミコ酢をかけて、好きなタイプのお塩を添えて。
 いざ実食。口に頬張り、噛み締める。ひとかみ、ふたかみ、もぐもぐと。いやー、まいりました。その甘み、香り、鼻の奥にまで広がる豊熟感。あー、旨い、、旨すぎる、、、旨すぎた、、。
 ローストビーフを調べると「牛肉のかたまりを蒸し焼きにする」と書いてあるが、ローストとは「直火で焼く」なので、揚げたっていいじゃないか。私は断然蒸し焼きより揚げ焼きのほうが好きだ。感動したのだ。それ以来、我が家で決めた肉の日では揚げ焼きローストビーフの登場が増えた。ある時はマッシュポテト、ある時はポテトサラダ、キノコをガーリックと生クリームでサッとソテーしたり、ほうれん草をバター醤油で炒めたり、付け合わせも、夢も広がる。

ご感想やメッセージはこちらからお送りください。